留学のための持ち物とは

留学する際に持っていくものといえば、パスポートと衣服くらいのものです。あまり沢山の荷物を持って行くと、現地で邪魔になるだけでしょう。あとは「パソコン」など、普段使っているツールくらいではないでしょうか。

留学の目的にもさまざまあるのですが、その目的が語学だったりその国の文化の習得だったりする場合は、なるべく母国のものを持ち込まない方が良いのです。自分に便利なものばかりを持ち込んでしまうと、本当の意味での文化や生活の違いを飲み込むことができなくなってしまいます。本なども同じです。どうせなら現地で現地の言語で記された本を買う方がいいに決まっています。留学の目的は、「その環境に身をおいて、そこでしか学べないことを学ぶ」ということです。人は自分を取り巻く「環境」からさまざまなことを吸収しています。私たち日本人は、周囲の人が日本語を話していたから、日本語で語りかけてくれたから、母国語としての日本語を習得したのです。

音楽が得意な人は、自分の周囲に音楽が溢れていたのかもしれません。スポーツが得意な人は、同じようにスポーツが得意な人の輪の中で過ごしてきたから、切磋琢磨してきたから、それがさらに上達したのです。「環境」は、人を育てる最高の教師なのです。その場にいるだけで、身をおくだけで、吸収できることがあるのです。その環境に在籍するだけで、その場からさまざまなことを得ることができるのです。そのようなことを鑑みると、なるべく自分が馴れている環境からつながるものは最小限度にした方が良いのです。言葉を覚えるにしても、特化した物事を習得するにしても、その環境に馴染むためにはその国の、その土地のものを新たに揃えた方が良いのです。

母国ではない土地に行くと、その場所でのことがとても苦になることもあります。誰も自分の国の言葉で話してくれない。自分の本当の気持ちは、自分の国の言葉でしか表すことができないものです。それが時にはストレスになってしまうかもしれません。本当の気持ちを伝えることができない場所にひとり身を置くことは、心に重圧となって歪みを生じさせるかもしれません。その土地で長い間暮らすということは、「試練」でもあります。馴染めるのかどうか、自分が自分でいられるのかどうか、「仲間」は出来るのかどうか、不安なこと沢山あります。だからこそ、母国のものを持ち込みたくなる気持ちが生じるのです。

そのような時には、「何のためにそこで学ぶのか」を考えなおしてみるといいでしょう。どうして留学しようと思ったのか、どうしてその場に身を置いて、不慣れな土地で学ぼうと思ったのか、それを考えてみるといいのではないでしょうか。「初心」を思い出すことで、また発奮できることがあるのです。初心を思い出すことで、また活力を取り戻すことができるのです。そのように発奮すべき時に、「逃げ込める」ことができる母国のモノがそこにあれば妨げになります。ですから、なるべく最小限度の荷物で留学するのが良いのです。帰るべき国はあり、自分の家族も母国にいるのは変わりません。ですが、あなたは新しい文化、新しいことを学ぶために留学するのです。限られた時間で学ぶのです。逃げられるようなものを用意してはいけません。