ホストファミリーにお世話になる場合

留学する際に一番問題になるのは「滞在先」です。学生であれば、さまざまな施設や制度があなたの留学生活の後押しをしてくれるものです。ですが、そうではない場合、社会人になってから留学を志した場合などは、滞在するだけで一苦労なのです。

その国で暮らすためには、「住む家」が必要です。ずっとホテルに滞在するわけにもいかないですし、毎日野宿するわけにもいきません。滞在先がなければ海外では生きていくこことはできないものなのです。私たちには心も身体も休まる「帰る場所」が必要で、そこが生活の拠点になるのです。疲れた時も、楽しい時間を過ごしたあとも、すべてその場所に帰って省みるのです。そのような毎日安らげる場所がなければ、私たちはすぐに息が詰まってしまうのです。

そのような場所を自分ひとりで新たに借り受けることはとても大変です。日本で賃貸物件を借りる際の手間を考えてみてもわかるように、物件を借りるためにはさまざまな保証が必要です。留学で訪れている身では、その国での保証はできないものです。ですから、まずは「住む場所」を決めることが留学する際の最初の関門といってもいいでしょう。そのようなことを解決するための手段として、「ホームステイ」があります。行き場のない留学生を受け入れてくれる家族、「ホストファミリー」の元に身を寄せるということです。そのようなホストファミリーは何人もの留学生を受け入れているもので、留学生との付き合い方をよく知っているのです。

そのようなホストファミリーの元にステイする場合、ホストファミリーはその土地でのあなたの家族も同然の存在になります。「ただ住む場所を間借りしているだけ」ではありません。生活を共にするのです。その「家族の一員」となるということです。特に私たち日本人にとってはそのようなことはなかなか考えづらく、留学生を受け入れるということ自体もかなり思い切ったものと感じられます。ですが、ホストファミリーなることを繰り返しているような家庭では、留学生の受け入れは日常で、さまざまな人を住まわせ、それぞれ家族にすることを誇りにしていることもあります。

ただ、それ故に「ステイさせること」に対してプライドがあり、絶対に家の中では「母国語」を話させないという人もいます。そまた、夕食は絶対に全員でとるというルールを設けていたり、門限を定めていたり、ステイ先によってはさまざまなルールがあるのです。それは「留学生とはこのようなものだ」と誇りを持って決めていて、それに順守させることにプライドがあるような家庭です。もしかすると最初はそのようなルールに辟易してしまうかもしれないのですが、そのような家庭ほど留学生に対する愛情が深いもので、最終的には心の絆が強固になっているものです。母国ではない土地に、もうひとつの家族ができる感覚は素晴らしいもので、故郷が2つあるという実感は、国際感覚として優れたものになるでしょう。その土地で事件があった際に気にしたり、季節の違いを実感したり、日本に戻ってからも国際的な感覚がずっと残るのです。留学にとってホームステイはとても有意義な時間になることは間違いありません。良いホストファミリーと出会えれば、その留学はきっと成功するに違いありません。