帰国して働くのか、現地に留まるのか

留学していると、現地に馴染み過ぎてしまい、簡単に日本の暮らしに戻ることができないかもしれません。憧れの国に行って、学びたいことを学んでいる状態はとても楽しいものです。

人はいつまでも学生でいるわけにはいきません。ずっと誰かに支えられたまま、学び続けるわけにはいきません。やがて自分の足で立ち、自分の能力で金銭を稼ぐ必要があるのです。それは楽なことではありませんし、誰かに守ってもらえるようなことでもありません。働くということは厳しいことであり、辛いものでもあります。学生時代にどれだけ経験を積むことができるのか、人と接することに対して抵抗なく過ごすことができるのか、状況を判断する能力、人に伝える能力などを磨くことができるのかということが大切です。

日本に戻れば、「社会」は過酷です。誰もが自分の出世を願うような世の中ではないのです。「しらけ」という得体の知れない風潮が蔓延していたり、そうかと思えば10年上の先輩方はみんな熱血だったりと、世代によってもその差は顕著に見られるでしょう。その中で自分はどのようなスタンスでどのような仕事に挑むのかということが大切なのですが、それを考える間もなく仕事が大量に降ってくるのです。そのような中で自分のキャリアを考える必要もあります。自分の生き方を考える必要もあります。

それまで過ごしていた環境と、働く際の環境の違いに戸惑うことも多々あるでしょう。文化の違いが、ここまで人を苦しめるものなのかと悩むこともあるでしょう。ただ、私たちの生き方は誰かに縛られるようなものではないのです。自分の生き方は自分で決めることができるのです。ですから、別に帰国しなくても構わないのではないでしょうか。現地に留まって働くという選択肢も可能なのです。ただ、それは日本に戻って働くことよりも困難を伴うことであることを覚えておきましょう。

仕事は「人」が行うものですから、その人が持ちあわせているパーソナリティが多分に反映されるものなのです。その土地、その国でどのように人が育ってきたのかということも、その国のビジネスでは反映されることなのです。そのようなことを加味すると、少し留学しただけで完全にその国のカルチャーを飲み込めるわけがありませんから、今度は人種の違い、根本的な文化の違いに悩むことになるかもしれません。ですが、それでもその国が好きなのであれば、乗り越えられるかもしれません。

どのように働くのかは人によって違います。何に価値を求めるのか、何が心地いいのか、人によって違うのです。ですから、自由な選択肢の中でどのように生きていくのか、決めるのは自分しかいないのです。誰もが働かなくてはいけないものですが、働き方は自由です。自分の好きにすればいいのですが、その結果起きることも自分で尻拭いをするのです。社会に出るための王道パターンなどは陳腐なもので、さまざまな方法でさまざまな地位を築いた先人がたくさんいます。この先どうなりたいか、この先何がしたいのかということをしっかりと考える必要があるでしょう。自分がどのようなことに価値を置くのか、意味を見いだすのかということ次第なのです。誰も決めてはくれないのです。